徐々に長期投資というものがわかりだしている

日本株投資

※画像の評価損益前日比率は現金を含まない株式のみのもの。

ピーター・リンチの「株で勝つ」は、タイトルは株式投資で儲けるためのハウトゥーというイメージがあるかもしれませんが、原題は「プロの機関投資家を(ゴルフの)1打差で出し抜く」といったもので、個人投資家のアドバンテージ、プロの機関投資家に課された様々な縛り(法律以外にも)、ディスアドバンテージについても言及されている、非常に励まされる内容です。株初心者の抱く漠然とした暴落への恐怖や、破産リスクがあるの?という不安、疑問に明快に答え、投資に踏み切る決心をさせてくれました。

大分初版は古く、大ベストセラーとなり重版を重ねた後年の加筆ありの新版にしても内容は過去の事例に基づいているものですが、結局現代でも要諦は同じ。全く正しいことばかり書いてある。投資を始めて経験を積むごとに実感として理解できてきます。

正直投資開始2~3年くらいは疑問が勝っていました。古いでしょこれ、当時は極端に逸脱しているとされていた数字による指標も現代では許容が大きくなっているのでは、とか、株価の値動きの幅や速度にしても当時のアナログと現代のデジタルではシステムも違うし手数料も現代の方が段違いに安いし当時の考え方で捉えても置いて行かれるのでは、とか、現代は「何が」と言われると明言できないけど、当時とはいろいろ「何か」違うのではないか、とか。なので、この本よりも現代に活躍する投資家さんのポストが光って見えてしまって、それらをご都合主義で解釈して、例えばリンチの「株で勝つ」ではあまりにも高すぎるPERの株は急落リスクがある、投資は避けるべき、とありますが、Xでは有名投資家さんが「本当のプロはPERなんか見ない」とポストしており、結局コロナショック戻り相場時のグロースバブルの絶頂でPERが100倍を超える銘柄を複数買い、大損したり。あるいは買った銘柄が数か月くらい含み損で相場に置いて行かれると、買いタイミングを間違えた、と売ってしまって3年後に見たら倍以上に上がっていたり。

リンチは本の中で「投資の利益を得るのはたいてい買って3年とか経過してから。半年ではない。」「株価は業績に関係なく半年1年では数十%上下動する可能性がある」「私ほど長期投資に意欲を燃やす者はいない」と書いていますが、これは実際に投資をして7年弱経った今、ようやく本当だなあ、と実感がわいてくるものです。

コロナショック時にいい失敗経験をしました。結局後から振り返って集計すると、あの時、売買せずに全てをそのまま持ち続けるのが最も正解だった。目先の株価と悲観的業績予測ばかり見て、主力級を売ってしまい、バブル高値の高PERのグロース銘柄に乗り換え、まさに大損(1つは4分の1以下に下落。)しました。長期目線を持っていれば、あの時買ったグロース銘柄の株価がずっと将来の分を先取りしていたこと、あるいは主力級だった銘柄の業績が後年に持ち直すことはわかったはず。結局リンチはすべて正しかった。

この経験が保有銘柄を持ち続ける握力と、ファーストチョイスは売買しないこと、何もしないこと、という胆力をつけてくれました。そしてTOBまで保有し続けた主力の知多鋼業が2.7倍となり、この銘柄のポートフォリオに占める比率は5割を超えていたため、資産全体も他の利益と合わせ倍以上となったのでした。

これからもリンチの教えを守って、腰の据わった投資を心掛けたい。無謀な投機を不勉強で繰り返すよくわからない情報弱者の人たちにも、投資を始めるのはせめてこの本を読んでからにしろ、と言い続けたい。大事なお金です。こんなにも英知の詰まったガイドがあるのに、参考にせず投機に走るのは狂気です。

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