個別株投資は2018年末から始めていて、便宜上2019年からということでやっていますが、初期の頃は何の記録もつけていず、ざっくり初年度は-10%(初期資金を株式に投資後、10日でクリスマスショック暴落)、以後、2019年は+も、日経平均やTOPIXには大きく劣後。2020年はコロナショックに見舞われ、ついに+には戻らず、2021年も微マイナスと、実はずっと日経平均に負けるどころかマイナスで推移してきました。改善したのは2022年からで、市場平均がマイナスの年でしたが、保有資産は少しの+。2023年は市場平均にやや劣るものの、初めての20%超えの+。そして2024年に長年の主力の知多鋼業が2.7倍となり、資産全体が+60%超と、市場平均を大きく超え、それまでの通算でも市場平均をまずまず上回る成績に。そして2025年7月現在、主力であった知多鋼業の全売却にかかる譲渡益税が多額にもかかわらず、一応現時点で市場平均をやや上回る+となっています。
初めて市場平均に勝った2022年から、何が変わったかというと、一切売買をしなくなった、ということにつきます。はじめのうちは銘柄の長期保有の根拠がどうしても特定できず、あやふやなままで、握力がなく、細かい利確や損切りばかり。そして、コロナショック時は暴落の大底からの戻り相場でいわゆる「グロースバブル」が起きた際、全く上がらない保有銘柄がもどかしく、怖いくらいに上がり続けるテーマ銘柄がきらびやかでうらやましく、調べてみるといくつかの銘柄は業績的にも中身は本物。コロナが逆風となり業績に影響を受ける保有銘柄よりも、こういう会社を持ちたい、と、いくらか保有銘柄を売り、きらきらグロースを買い、という行動をとってしまい、当然一時期は勢いよく上がったものの急落の反動も大きく、一時は4分の1まで下がったものも。大損です。この時、懲りました。
全部、個別株投資を始めるにあたって散々読んだピーター・リンチの「株で勝つ」に書いてあることでした。他人が儲けたという話にいちいち悔いる姿勢は損を呼ぶ、よくわからない株をいくつも持つよりよく知った会社の株を1社持つ方がよほどいい、市場の雑音に鈍感であれ、いくらいい会社でもすっ高値まで買い上げられた株は後は落ちるだけ、等々…まったく、この本は正しい。金言にあふれている。とにかく、自分がすべきことは「機動的にならない」ことだと気づきました。その後訪れた海運株、商社株、銀行株、造船株の大相場に乗れていません。しかし、他社の儲けた話に鈍感になり、機動的にならなかったおかげで、資金の半分ほどを投じた知多鋼業をずっと持ち続けることができ、それが化けたことで一気に資産全体が倍増に届きました。あくせく流行りの銘柄の上昇の波に乗り続けるストレスもなく、普段は仕事に全集中できましたし。やったことといえばそれだけです。分析、定量化、といった調査ではなく、ただ何もしない、これを心掛けた時から成績が上向きました。
長期投資の意味も少しずつ分かってきました。やはり経験が一番大事なんですね。私の少ない経験からも助言は可能ですが、やはり結局身をもってわからないと実践できない。「株で勝つ」にはすべて書いてありましたが、結局そこに書いてある行動で避けるべきということをやってしまいました。今、やっと身をもってわかった段階です。正しい情報を投資でも何でも初心者に言っても届きづらい。それどころか大体嫌がられる。失敗して覚えろ、ですね。
これからも、周りの儲けた話に鈍感で、機動的でなく、私生活を最優先で充実させる個別株投資を心掛けたい。リンチのファンド「フィデリティ・マゼラン」の成績はすさまじく、年平均利回り30%近かったと言いますが、それにもかかわらずこのファンドに投資した人の半数以上は損をしていたとか。相場の上げ下げに右往左往し、下がった時に売り、おそらくもっともっと高利回りが狙える別の商品を買い、おそらく大損をしていたのでしょう。このファンドに投資したことを忘れるか、あるいは死亡して放置していた人が大儲けしていたそうです。「時間を味方に」とは、「株で勝つ」にも必勝法として書いてありますし、バフェットもマンガーも、他の成功している著名長期投資家も言っていることです。この言葉の意味がやっと実感としてわかってきたので、実践したい。