2018年10月頃から日本個別株投資を始めました。とりあえず株式投資の入門本と、ピーター・リンチの「株で勝つ」を熟読した上で株を買い始めました。
2018年10月と言えば相場はショック安に見舞われました。それを見届けたあとで株を買い始めたので、どこかでもう近々では大きな下落はないだろうと思っていましたがその年12月にクリスマス暴落が来ました。
「株で勝つ」には「暴落はよい会社の株をバーゲン価格まで下げてくれる」とあり、とるべき行動は買いであり「暴落のたびに売りたくなるようなら株式投資で利益を上げることなど出来ない」とも書かれています。取り敢えず当時はフルポジションまで買ってしまっていてキャッシュはなかったので新たに買うことは出来なかったですが売らずに持ち続け、次の年には早々にほぼ株価は戻りました。そして、フルポジションだった保有銘柄を一度整理しました。
当時まだまだ調べが足りないまま性急にフルポジションにしたものの、リンチの言うように10年20年長期で持ち続けるストーリーを描けているだろうかと疑問がわきました。そこで前職バイク仕事だったので「バイク タイヤ メーカー」のワードで検索し、知多鋼業という会社を見つけました。バネメーカーとしてバイク向けシェア1位。業績は急成長ではないものの成長を続けており、驚異の現金性資産の厚さ。現預金、売掛債権、有価証券などの総額から全ての負債を差し引いた額が時価総額をかなり上回る、いわゆる「資産バリュー株」にあたる超割安銘柄でもありました。これだ、と思いました。投資開始間もない2019年2月にキャッシュの大半をこの銘柄に注ぎ込み、集中投資体制としました。しかしそれだけではあまりにもやることがない。勉強もしたいのでその年の夏頃に追加入金し、最終的に12銘柄保有となりました。
その後、米中摩擦、コロナによるサプライチェーンの混乱、停滞など、さらには物価高の影響など色々見舞われ、知多鋼業の業績も伸び悩んだりしましたが、財務はますます堅牢となり、内部留保、現金性資産はどんどん増えていき、株価の割安度は増し増し、あとは業績が上向けば・・・という中、遂に今年、TOBに遭い、株価は2.7倍ほどに。保有6年ほどで投資額670万円ほど→1800万円ほどとなり、十分なリターンとなっています。来年2月にTOBに応募して全て利確すれば220万円ほど源泉引かれますが、それでも利益の手残り900万円ほど。イナゴでもモメンタムでもなく、長期目線で自分で選んで主力に据えて保有し続けた銘柄というのがとても嬉しい。自信にもなります。
他の投資先にしても、損切りした銘柄もありますが全体としては損失というほどの損失は出していません。配当金を含めて400万円弱の利益を出しています。やはりリンチの「株で勝つ」を事あるごとに読み返したのが大きい。今でも大原則としている「株式投資は向こう何年間かに必要となる可能性のある現金を確保した上で余剰資金で行なう」「信用取引(空売り、信用買い)をしない。」も、この本に明記されていること。「いい会社だからと言って、人気化して割高に買われすぎている株はあとは落ちるだけ」「株価は長期で見れば利益に収斂するが、時には何年もそうならない場合もある」「業績がいいのに割安に放置されている不人気な小型株は狙い目」「つまらない社名、業種の会社は安く放置されている場合が多く、狙い目」「資産株は乗っ取り屋がTOBを仕掛けてくるまで売らない」などなど、大昔に書かれた本ですが全く正しい、現代でも同じく通じることがいっぱい書かれています。知多鋼業を買って保有し続けられたのもこの本なくしてあり得ない。
そして、Xです。かぶ1000さん、まぎいちさん、しーげるさん、株リズムさんなど、現役の割安バリュー株投資家さん達がリアルタイムで有益なポストをしてくれています。彼らの方針、姿勢、分析、握力は力を与えてくれます。知多鋼業も何度かあった株価上昇タイミングで売りたくなったものですが、彼らは誰一人売らなかった。
そして、何冊も投資本を読むのもありかもしれませんが、1冊を極めるというのも大事かなと。リンチの「株で勝つ」も何度も何度も読み返してますが、投資経験を積むごとに、中身の正しさを確認出来、理解も実感として深まる。私はこの一冊と、Xの堅実で賢明な投資家さん達のフォローで取り敢えず十分かと思います。情報過多の時代、良質な情報を選別し、雑音に耳を塞ぐことは大事です。自分の方針を変えず、来年以降も堅実に焦らず、投資していきます。