個別株投資で重要なこと

日本株投資

2018年末頃にキャッシュをほぼ全て個別株式に投資し、投資歴は現在6年ちょっととなります。キャッシュをほぼ個別株にし、フルポジションとなった10日後にクリスマスショックが来て、資産-10%。それくらいのまま年を越し、投資初年度は-10%ほどで終えました。便宜的に、そこは省いて2019年初から投資開始ということにしています。

その後、結局、当時の保有銘柄は保有する根拠がそこまで明確でなく、中身の理解も浅すぎ、買う決め手に欠いていると自覚してきました。株価の上下ばかりが気になってしまう。業績を精査どころか、四半期決算すらいつなのか把握していない。株価が急に変動した?と思い、調べたら前日に四半期決算発表だった、という体たらく・・・これでは、長期投資とは程遠い。一旦ポジションをほぼ精算して、損切りも利確もして、キャッシュを作り、一から自分で発掘して調べられるだけ調べて、長期投資と決めて、持ち続けられる銘柄を探そうと、リンチの「株で勝つ」を参考に、身の回りの手がかりからあたりました。

直近まで働いていたのはバイク仕事でした。「バイク タイヤ メーカー」で検索してみたところ、ニッチトップの大同工業と、二輪向けサスペンション(緩衝材、バネ)シェア1位の知多鋼業が有望だと思いました。両者とも競争力がある。競合が大挙参入するような人気産業ではない。電動車シフトも関係ない。10年先も必要な業種。株価も割安も割安。現在、東証が是正を呼びかけるPBR=1倍割れどころか0.5倍も割る。その両社から、業績が安定的に伸びており、圧倒的財務、現金性資産豊富で時価総額を上回る現預金、売掛金、有価証券を持ち、全ての負債を除いても時価総額を優に上回る「資産バリュー株」にも該当する知多鋼業を選びました。それも資金の大半を1銘柄に投入するという暴挙。今なら出来ない。しかし、当時はこれだけは別枠扱いで、買値は忘れて放置し続けるくらいのつもりで、これとこれ以外、という分け方で、普通の投資の勉強は他の銘柄でしよう、資金の大部分は安全域のある、暴落耐性のあるこの銘柄に預けておいて、と、決めました。

結果的には6年ちょっとの保有で約2.7倍、1,140万円の利益です。譲渡益税228万円引かれますが・・・

色々ありました。売りたくなったことも何回も。特に、最初の決算またぎでいきなり急伸し、その時に売らなかったので以降、長きにわたって低迷し、コロナショックでは急落し、戻らず、以降の上昇相場でも上がらず、下落相場では強いものの、業績の伸び、財務の伸長に追い付かない株価、かと思えば単なる資産バリュー株ブームで上がってみせたり、それが過ぎると下がってくれたり、これさえ大量保有していなければ、相場並みには儲かったかなあ、と思うこともしばしば。しかし、売らなかったからTOBまで保有し続けられました。TOBで一気に倍以上となったわけで・・・

重要なことは、全てリンチの「株で勝つ」に書いてあったことですが、このたび実感として理解しました。「短期の株価の動きは無視する」「全体相場の予測はしない」「暴落は良い企業の株価をバーゲンセールまで下げてくれる買い場」「資産バリュー株は乗っ取り屋が買収に来るまで売らない」「最初にその株を買った理由を忘れない」などですかね。特に最後の「買った理由を忘れない」ことこそが、要諦でした。そもそも買う時に、業績に見合う株価になるまで売らないと、この株は特別枠で、買値を忘れて放置しておく、と決めていました。何度か忘れそうになりました。バリュー株ブームで大きく上がった時には「今売らないと次いつ上がるか?何年かかるか?」と揺れました。コロナショックの時には「割安と言っても暴落の時には下げるし、全く戻らない、他の株はどんどん戻っている、乗り遅れている、乗りたい、乗り換えたい」と思いました。しかし、間違えていた。実行に移さないで良かった。基本をいつまでも忘れない、と気持ちを新たにしました。

心理学的アプローチも大事です。上がった喜びより下がった痛みがきつい、あるいは、上がりに乗り遅れる痛みの方が下がった痛みより大きい、などは、覚えておくべき心理です。下がると売りたくなる、上がると買いたくなる、は、本能であり、大多数の行動です。意図して逆を行く必要がある。「入口が混んでいる時に出口から入り、出口が混んでいる時に入口から出ればいいのである」(ピーター・リンチ「株で勝つ」より)です。本能は長い歴史で培われた生存の知恵だ、といわれると従うべきと思ってしまいますが、違うのです。リンチはまた、数多の雑音に対し鈍感であれ、機動的になるなかれ、とも説きます。今はSNSなどで色んな情報が検索せずとも表示されます。そのどれももっともらしいとなれば、否応なしに気になります。儲かっている情報を見ると、みんな自分より儲けているように感じてしまい、まさに下がる痛みより大きい「上がりに乗り遅れる痛み」を感じてしまい、すでに人気化して上がりきっている株を高値づかみすることに繋がりやすい。私も失敗しなかったわけではない。「どうしていつも隣の芝は青く見えるのか」「よくわからない話題の株を買うよりもよく知っている会社の株を買うべきである」と、当り前すぎる当り前のことをリンチは説きますが、本当にすぐ忘れてしまいます。こうした地に足の着いたメンタルこそが、個別株投資においては知識や勉強よりも大事だと感じます。実感として感じました。「株で勝つ」の内容は、全て合っていました。

これからも、これらのことを大事にして、地に足の着いた投資を心掛けます。

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