主力というか、投資始めて間もない頃に、ひとまずこれに資金を集中させて数年間ほっぽっとこう、と思って数百万円を投じた知多鋼業という会社。かいつまんで言うと愛知のバネメーカー。自動車や建機のサスペンションが主で、二輪向けはシェア1位。ピーター・リンチの「株で勝つ」でいうところの「資産株」にもあてはまる、時価総額を優に上回る現金性資産を持ち、それが増え続けているキャッシュリッチな企業であり、じりじりと業績成長もしている。「業績の割に(超がつく)割安」「地味な業態、社名で市場にほっとかれている(まだ安いが、良さに気付かれた時、買われて上がる)」「成長余地が大きい小型株である」「地味故に超人気産業のように競合が一気に参入して廃れるといったことがない」「10年20年の長期、成長が見込まれる(電気自動車にシフトしようともバネは必要)」など、リンチの挙げる「良い株」の条件を複数満たしていました。
その後はどんどん中身のキャッシュは膨らんでいるのに株価が追い付かない「バリュートラップ」に陥りましたが、元々この銘柄だけは別枠、株と言うよりは「金(ゴールド)」のような安全資産(しかし金と違って配当はある)の位置づけで、ほっぽらかす方針で、相場の暴落でいっときストップ安にはなっても買値から数分の1になるなどは基本あり得ない、もしなったら全力で買い、と思っていましたので、持ち続けました。そして去年末頃に、この会社の筆頭株主企業で同業のカヤバが、この会社の全株を私の買値の2.7倍ほどの値段で買収するTOBを表明し、利益確定の運びとなっています。
私の買った時からここまでの同期間で日経平均株価は2倍未満ですが、一気に知多鋼業は上回りました。このTOBは正式には今月末から始まる予定で、取り扱い証券会社のみずほ証券の口座を開設し、今の口座から知多鋼業の株を移管し、移管後にまたTOBの手続き、という流れです。両方、紙の帳票をやり取りする必要のある手続きです。日数もかかります。現在は、株の移管を申し込んでいて、まだ移管が終了していない状態です。
保有銘柄がTOBに遭うのはNTTドコモに続いて2回目ですが、当時は申し込まず、ややTOB価格を下回る額ですぐ売ってしまいました。すぐにソニーを買いたかったからです。これは絶妙で、そこから3ヶ月でソニーは+40%もの上昇。その前のNTTドコモも同じく40%くらい3ヶ月で上がっていて、それを売った全額+αのキャッシュをソニーに注いだので、計6ヶ月で当該投資分は約2倍に。ただ今回は素直に待ってTOBに応募します。急いで買いたい銘柄もないし。候補は複数ありますが。なにせ知多鋼業に資金の半分近くを投資していたため、売却額は私にしては莫大(もともとの投資元本の総額(全銘柄の買付け額)を超える)だし、多すぎて次へ投資完了するのには、ちまちま買い増す必要があり(一気に買おうとすると特に売買の少ない小型株などは自分の買いで値段が上がってしまう。あるいは買い時期を分散させることで下がっている日に買える。)時間がかかるので、ここは焦らず。TOB手続きにも慣れておこうと。
この銘柄は実質自分で調べて見つけてこれは上がると思えて買った初めての銘柄。その前は、著名個人投資家の推奨銘柄が元だったり、自分で調べはしたが上がるのかどうなのか、何だかよくわからないままだったり、まだ自分の投資だという心づもりで買えていない銘柄ばかり持っていたので、一旦それを売って、知多鋼業を買い直しました。一応は当たった形で、嬉しいですが、寂しい。良くも悪くも動きの少ない不人気、過疎株で、特に下落相場では頼もしい防御の要でした。2022年下落相場でも全体+で終われたのはこの銘柄なくしてはあり得なかった。これからは新たなフェーズって感じです。基本は同じ。地に足着けて。