30才くらいまで、お金に無頓着で金払いがよくて、宵越しの銭は持たないまで徹底しないけど常に使う姿勢で、高いものを買い、金を回す、という生き方が金持ちになる方法だ、金は使えば倍以上になって返ってくるものだ、それが大物になるということだ、という感覚で生きていました。だからよく必要な場面でお金が足りなくなっていました。今から考えれば当り前ですが、当時は物欲もそんなにないし、高い買い物も滅多にしないし、確かに使う時は惜しまず敢えて売り場で高いものを選び、もちろん新品を買い、といった姿勢でしたがそういう買い物を特にした記憶のない月もお金は着実に減り、大して残らない。お金はどこへ行ってるんだ、と思っていました。
あまりにも不思議で不服で、多分30才かそこらから1円も漏らさず家計簿をつけ始めました。今はアプリがありますから、品目ごとのデータも見られますし、簡単です。そして、自分の金遣いの荒さに気付かされました。まず、「そんな高い買い物は滅多にしない」が、思い込みでした。2ヶ月としないうちに何万円という買物をしている。しかも、自分の感覚では滅多にそんな遣っていないつもりだから、思いついたように「経済を回さなきゃ」と、別途いらん衝動買いもしている。これも1年に2回くらいのつもりでしたがやはり2ヶ月と空けていない。そして、細かい浪費です。小さい単位の買い物、代表的なものは缶飲料や小さいペットボトル飲料など、或いはコンビニの小分けの食品など、これをじゃぶじゃぶ毎日のように。フラッと寄っては買っていた。これは月単位では恐るべき額になっていた。あるいは「ずっと前に銀行でおろした2万円で延々と暮らしている、これは今月かなり貯まっただろう」と思っていても、実はずっと前というのは6日前で、1週間足らずだった、という事実にも気付かされたり。とにかく数字は残酷です。そして正確です。まず月の合計支出を見て「絶対嘘だ、入力ミスがある。」としか思えず、中身を見てみると確かに遣っている。一つ一つは全部覚えがある。それを過小評価して感じてしまっている。120円の買い物はほぼ0カウント。何なら4~500円くらいしか遣わなかった日は貯金したくらいの気分になっている。しかし、全て厳然と積もっており、毎月数万円になっている。
家計簿をつけ続ける内に「何となく」は間違えていると気付いた。細かい浪費は確実に大きな額になり、逆に非常に頑張って節約生活をしたつもりでも、給料日前にあらゆる支出を先延ばししてお金を遣わないよう誤魔化して生活しても、それほどお金は浮かないこともわかる。気分的にはずいぶん抑えた、きつかった、さて給料日くらいは遣うぞ、では、全く意味が無い。
これだけたたきつけられると人生を潤すことのない衝動買いや、ちょっとした喫煙感覚のストレス発散のための小さい買い物など、やめるしかない、となる。あるいは高い買い物(家電や自転車など)の時はケチらないが徒に最新の型とか上位モデルとかを選ばず、コスパを検討するようになる。金は天下の回りもので、遣わないと経済が回らない、は真理だが、意味の無い浪費が即返ってくるわけではない。自分の経済力、体力を削ぎ、より見返りの多い有為な消費に向けるお金がなくなってしまう。肝心な使いどころでお金がなく、ケチるようになってしまっては生活クオリティを下げる。生産性が落ちて、稼ぎも悪くなる。
家計簿をつけるだけで、特に敢えて頑張って節約とかせずとも当然のように無駄な支出は抑えられ、自然にお金が貯まり出しました。それから毎年のように何万単位の買い物、支出が発生しました(こういうのも家計簿つけ出すまで年1~2回あると思っていなかった。もっと頻度は低いと。)が、しっかりとお金があり、自転車もいいのを買って8年以上快適に乗り、水回りも真っ当な業者に頼み、空調も快調。ここいらを変にケチるとすぐ故障して結局また買い換えたり、不自由な状態を我慢し続けなければならず生活クオリティが下がったりする。家計簿をつける前の自分は自転車もボロに乗り外出が苦痛でしたし、空調も利きが悪く、とにかく肝心な時にお金がなかった。
そしてそういう感じで会社員時代にも独立起業資金を貯め、さりとて私生活は特にケチらず、趣味の料理にもお金を遣い、スポーツ観戦に出かけ、好きに暮らすことが出来ました。アホな浪費をやめるだけで生活は変わりました。以前は月2万の積み立てなど鼻で笑っていました。しかし、年24万円積み立てがあれば、自転車だろうがPCだろうが車検だろうが給湯器やトイレだろうが何でもいいのが買えます。せこいこと言わずに豪快に生きれば稼げる人間になれる、遣うことで大きく成長する、大物になる、とか、聞こえはいいですが、そういうことを大声で言う成功者がごくたまにいるだけで、失敗して死んだ人は声をあげられないだけ。声の大きい人が目立つだけ。会社だったら資金ショートはすなわち死。お金は大事。継続的に成長するためには無駄をなくし、使いどころに投資する。これでお金が貯まり、独立起業には当面必要なく、個別株投資に回して、資産が6年で約2倍になっています。
ガチでおすすめです、家計簿。