マゼラン・ファンドを運用して驚異的成績をあげた稀代の投資家ピーター・リンチの著書「株で勝つ」には「良い株を選ぶ限り相場の方はあまり気にしなくてもいい」「株を底値で拾えれば素晴らしいが誰も底値はわからない」「持ち株を売り払って暴落を回避できれば素晴らしいが、ではまた買い戻せるだろうか」「私は相場の予測を信じていない」等、株の買いタイミングを測りすぎることの無益さを説く文言が多く記されています。この本は書き出しが、かのブラックマンデーの暴落の渦中にいたファンドマネージャー時代のリンチのエピソードで始まりますが、結論「こんな交通事故のような暴落ごときであなたのポートフォリオを台無しにすべきではない」と結んでいます。「良い株は素早く値を戻した」「暴落は良い株をバーゲン価格まで下げてくれる、またとない買いチャンスだ」とも。
確かに当時の暴落前夜の相場全体のPERは割高に向かっていたし、現在もバフェット指数など相場に関する危険信号が出ている、アメリカ株のPERはかなり割高、テスラくらい異常なPERまで上がる個別株が出るといよいよ市場全体でも加熱サイン、暴落リスクは高まっている、等々・・・歴戦の億り人投資家達もいよいよ急落を恐れて悪名高い日経Wインバース(日経が落ちると倍儲かる仕組みだが期間が延びるとそうはならず、どんどん損するように出来ている)を買ってヘッジを試み、損をする例が何人か。相場の下落に賭けるプットオプションでも同様。
私もコロナショックの渦中は「パンデミックの前、コロナが騒がれだしたくらいの頃にダンさんの動画で「疫病が世界ではやった時は数%歴史的には相場は下がっている」と言っていた時点で全てのポジションを整理しておけば良かった」と思ったりしましたし、ある億り人投資家が早めに損切りしてポジションを縮小して「ある程度は読めていた」というのをうらやんだりもしました。しかし、2020年度投資成績は、その損切りに成功した方達とあまり私は変わりませんでした。結局彼らも彼らで暴落の底値を見極めようとして買い戻しそびれているんです。「戻り相場にほとんど乗れなかった!」と嘆いていました。私の保有銘柄でもソニーもソフトバンクグループもMonotaROも何もかも怖いくらい下がりましたが、今では大きくコロナ前を上回ってきています。大王製紙は今上がっているのもそうですが、コロナショックでも大きく下げていません。東急不HDや主力中の主力の自動車関連銘柄等の景気敏感、伝統産業では戻っていない銘柄もありますが、このままということはあり得ない。しかも徐々に戻してきてもいる。ショック安当時まだ投資経験2年にも満たず、拠り所は熟読し続けている「株で勝つ」が大半。それと現代の個人投資家さん達の発信です。結構この昔に出版された本と同じことを仰っている。心底から実感していたわけではありませんが、色々思いつつも教えを守った。いらない動きもしてしまいましたが、結果年初来マイナスでしたが深い傷は負わず、巻き返しの態勢が出来ている。この経験が、暴落では損切りをしない、フルポジの姿勢を強固にしてくれました。握力が強まった。
ですので暴落の予兆があろうと周りが自分の保有銘柄を売ろうと、自分の調べた銘柄を買った理由が崩れなければ手放すことはないです。