投資運用を始める意味

日本株投資


自分は持病がありまして、20年近く前に内臓を傷めて倒れて以来治っていないのですが、それで退職したのもあってサラリーマンとしてのキャリアなど考えられるような状態じゃなくなり、さっぱりあきらめがついたというか、社会復帰すらままならない状態が数年続いて別に手術すればどうこうなるわけでもなさそうだし、様子見様子見、せいぜい節制で数年かけて回復して、家からなるべく近く、仕事内容もストレスや肉体的負荷の軽い、非正規雇用の職を得て働いていました。

当然、正規雇用など目指さない。むしろ転勤なし、責任も軽い非正規の方がメリットがある。稼ぐのは自分でやらないと、と、独立起業に向け勤しむとともにお金の方もプールして、借金なしで商売の一つくらい興せるくらいまでは貯まりました。しかし、起業にあたってはとりあえずはそのお金は必要なかった。なので投資運用を初めて考えました。

個別株投資にはかねてより興味があり、やるやらないはともかく、基礎のハウトゥー本と、その中で紹介されていたピーター・リンチの「株で勝つ」という本を読んでみました。リンチの「株で勝つ」は良書というにはあまりある、必読ものの内容で、「株はギャンブル、大概負けるもの」「市場が暴落すればなすすべなく資産は吹き飛ぶもの」といったよくある思い込みを事実に即して、明快に否定してくれており、長期で見れば誰もが得をする「プラスサム」な世界であり、暴落時にも信用取引をしていなければ資産はゼロより下にはならず、むしろ連れ安する優良企業の株を安く買える絶好のチャンスとなる、とも明記してあります。

実際、投資を初めて7年弱になりますが、その通りに来ています。コロナショックで一番下げた際は資産は30%以上は減ったと思いますが、今はその時から3倍以上になっています。投資開始来で2.4倍ほどです。この間日経平均も2倍以上となっています。資産は一応、配当を除いても日経平均に少し勝つくらいの上昇率です。

まあ、お金自体も増えていますが、何より投資運用をすることで経済というものが少し見えてきたというか、投資を始めるまでは振り回されるばかりで、表面上のニュースの見出しに踊らされ、内容、原因、取りうる方策については無知、何となく不安なだけ、インフレでも給料が上がらないとなればどうすればいいのかなどわからなかった。しかし今は、「インフレには株」と言われるとおり、株に投資していることだけでもインフレ対策に十二分になっている。保有銘柄の総配当利回りは低いですが、それでも税引き後の手取りで月に3万円くらいの配当金が入る。これは今すぐあと2万円くらい+することもできますが、配当利回り重視の投資ではないので、高配当株も重視しないし、配当を生まない現金を持つことも許容しています。

よく、投資をしていないごく一般の方が「今は円安で物価が…」というのを聞きますが、円高になれば物価が元に戻るとでも?と違和感を覚えます。しかし、翻って見て、投資運用を始める前の自分だったら、と思うと、確かにそれくらいの理解でしかなかったなあ、と思います。通常は日本以外の国は世界的に恒常的にインフレし続けていること、それがコロナの金融緩和のせいや天候、戦争の影響などもあって拍車がかかり、世界でインフレが亢進していること、そこに円安が追い打ちをかけていること、そして、各社値上げで十分インフレ分を吸収しているかというとそんなことはない、つまり、多少円高に振れようと再値下げなど起こりにくいということ、など理解が及びようもなかった。ただただ昨今の「実質賃金マイナス」の状況に翻弄され、テンションが下がっていただけだったろうな、と。前職場によくいた人たちのように表立って不平不満を言わないまでも。

なので、お金が増えていなかったとしても、投資運用はするべきだったな、と。こういう基本的なリテラシーが身に着くだけでもやる意味があるな、と。始めて10日後にクリスマスショック暴落10%失い、じりじり取り戻して、その後+へ転じてきた矢先にコロナショック暴落。以降配当金が入り続けても+に浮上できずに、何年かはトントンの状態でした。しかし、その時点でもやはり始めておいたのは良かったな、と思えていました。投資をしているだけでいろんな事態へ対処するにあたって選択肢が多い、と、何となくわかりましたから。そして、何か起こってから慌てて始めても遅い、今からやっておくことに意義がある、ともわかりましたし。

継続することに意義がある。今の資産の増加も継続してきたことによるもの。逆に言えば、継続できないような、無理な負荷(信用取引もそうですが)を決してかけず、仕事や私生活を優先して、一生続くものとして取り組んでいく。投資運用には、その価値があります。何の労でもない。毎日ゆったり暮らしています。今以上に仕事が忙しくなればこういうブログなどの記録も毎日の資産の増減をチェックすることもままならなくなるかもしれませんが、そうなれば放置しておくだけです。それでもかまわない。むしろ何もしないことが正解の場合も多い。

引き続き、継続します。

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