個別株投資を始めるにあたって、まずピーター・リンチの「株で勝つ」を熟読して納得した上で、初めて証券口座を開設し、少額から始めました。実を言うとそれまでの自分は典型的日本の一般人で、株に手を出すなどまともではない、という側のリテラシーでした。悩んで悩んで、投資をするありきではなく、とりあえず本の1~2冊を読んでみて、考えてみよう、と。
具体的には、「コツコツ勝ちを重ねて利益を積んでも数年に一度の○○ショックで一気に損失まで落ち込む」「毎日相当の情報収集の時間をとらねばならず、チャートのテクニカルにも細心の気配りをして、売買タイミングを伺わねばならない」「なぜかわからないけど暴落で破産するらしい?ゼロより下があるのか?」「結局何かしらの偶々がなければ儲けと言うほど儲けるのは不可能なギャンブルではないのか?」といったいくつかの思い込み、疑問を解消してからでないと、踏み切れなかった。そして見事に解消出来た。
まず暴落に関しては「何年かに1回必ず来るが、むしろそれはいい会社の株をバーゲン価格で買えるチャンスで、超長期で見れば株式市場全体の株価は上がり続けている」と、この本にはあります。実例としてブラックマンデーを取上げており、事実、当時より市場全体の株価は何倍にもなっています。
そして、いい会社の株を買ったら株価が上がるまでじっと待つ、上がるまで売ってはいけない、ともあり、テクニカルアナリティクスで売り時であろうと業績がいい限りは持つ、あらゆる銘柄をチェックする必要はなく、よく理解出来るビジネスの会社を選ぶ、ともあります。毎日新聞の株価一覧など見る必要はなく、過度にチャートを追いかける必要もない、と。事実、本業と両立して毎日そんなに株に時間を費やせず利益を出している兼業の方も多い。
そして、よく聞く「暴落で破産」に関しては、信用取引で自己資金の倍以上の取引をしている場合、あるいは空売りを行なうと株価が際限なく上がった場合はゼロと違って天井がないため破産がある、と。
そして、ギャンブルなのかどうか、に関しては「ギャンブルでないとは言えないが、情報収集で負ける確率を下げることができ、市場全体も数年単位では下げ続けるときもあるが超長期では上がり続けているプラスサムだ」とあります。
つまり、暴落があっても長期で見れば資産を増やすことができ、毎日株のことに相当時間をとられることもなく、信用取引をしなければ最悪でも損は資産ゼロまでで破産はせず、ギャンブルではあるが通常のギャンブルより勝ちやすい、という結論になります。
そして大前提として、今後数年間必要になるであろうお金をキープした上で余剰資金で株式投資を行なう、とも。これを守ったおかげで追い立てられることもなく、人生を楽しんだ上で資産も増えています。クリスマスショック、コロナショックと暴落も経験しました。その上で3割以上、約500万円増えている。本に「やってはいけない行動」と書いてあることも何度もしてしまい、失敗もしていますが、増えている。
最初の方は売り買いが多かった。そしてコロナショック下ではいい会社の株を手放し、いい会社ではあるが指標面で明らかに超割高、人気業界の人気株(「株で勝つ」で「避けるべき銘柄」の章に挙げられている典型)を代わりに買い、株価は4分の1以下になったりも。そういう経験を経て、2年半前を最後に売買をしなくなりました。理由は資金を全て投資し終え、それらの会社を買った理由が崩れていないからです。コロナショック下でもそうだったのに売った。そしてすっ高値の株を買い、損をした、その反省からです。そしてその2年半で、投資を始めて以来の通算利益の85%を稼いでいます。
他人が大儲けしている銘柄の情報がXに溢れかえっています。ちょっと買っておかないとと思ってしまいます。それがいけない。そうやって溢れかえる頃には既にすごい高値に買われています。そういうところで買うとあっという間に半値になることも。或いは数年かけて10分の1とかも。そういうのを実際に見て、自分でも一部大損の経験もしつつ、同じ失敗をしないよう忍耐を覚える。少しずつ成長していきたい。