元々投資に興味はありませんでした。周りで株で着実に資産を増やしている人など皆無で、たまにやっている人がいても上下の激しい新興市場の株で超短期で丁半博打をしているような人や、うちの父親のように全く勉強せずPERも理解せず、証券会社の営業のカモになって適当に買ってソニーショックを食らったりとか、およそまともな世界に見えない。
それでも着実な人もいるとは理解するものの、普通に生きていると入ってくる情報はスキャンダラスなものばかり。ライブドアショック、リーマンショック、ITバブル崩壊・・・毎日相場と向き合ってコツコツ数十万ずつ利益を積み上げてもショック安で台無しに?剰え破産?ゼロより下にもなる?このことの意味もわかっていませんでした。何故ゼロより下?・・・
結局、長期で見れば滅多にない買い場、リーマンショックの安値も見送り、アベノミクスにも全くのらず横目で見て、「官制相場でバブル後最高値?不自然だ。もう暴落するだけだ」と。その一方で私自身は持病がある体で加減して働く中で、キャリアなど当然描けず、独立ありきで動いていてどんどんと現預金を積み上げて開業資金としていました。しかしいざ独立となる段階で、資金など必要なかった。最低限の回転資金と数年分の生活費さえ残せばあとは余剰。ここで個別株投資も検討し始めた。
しかしギリギリまで迷った。迷いを解いた決め手は伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ著「株で勝つ」を読んだことです。色々な金言、示唆にあふれる良書ですが、投資を迷う、真っ当でないと疑う人の蒙を払う要諦が「株式投資は向こう何年かの内に必要とならない余剰資金でやる」「空売り、信用取引をしない、現物株のみ」この2つです。
私は暴落時に破産する、ということの意味がわかりませんでしたが、「空売り、信用取引」によるものだと理解できました。空売りは持っていない株を借りて株価が高い位置で売って、安くなったら買い戻す、という手法で、差額が利益となります。もし当てが外れて株価が上がってしまった場合、上昇には際限がないため買い戻すお金が工面できず破産、があり得る。下はゼロまでだが上は100倍1000倍1万倍がある。
そして信用取引とは資金の3倍まで株が買えるという手法で、こちらも実際の変動の3倍値が動くことから、ゼロより下も平気で行く。これが破産の正体。これをやらない限りいくら損をしても株価ゼロが下限となる。そしてゼロになったとしても当面生活に困らない分のお金でやれば安全。これがこの本のまず一番大事な部分です。
この本を読んだだけでも破産、生活苦の心配は無くなり、投資に踏み切れました。で、まず第一歩は100株だけ安い株を買い、株を保有していることの練習。その後何を買うか、四季報などで調べたり、現代の億り人達の取材記事やブログなどを読み、自分なりに候補を見つけていく・・・しかしもちろん当時は何を決め手とするのか、どういう条件が合致すればGOなのか、基準もあやふやだし調べたのか調べ足りないのか、何がわかっていないのかわからない状態。
とりあえず「株で勝つ」には「年末は機関投資家も休暇前にポートフォリオの見栄えをよくしたり損失確定させて節税したり、規制にかかるケースが多くなる低位株(機関投資家は時価総額いくら以上の会社でないと買ってはいけない、とか色々縛りがある)を売ったり、株価が下がりやすい。年末は買い時。」とあるので、当時2018年は既に10月に世界同時株安も発生していて2度の暴落はなさそうだし、12月半ばの今の時期は買い時なんだろう、と軽はずみに元手資金900万円をほぼ個別株にしてしまいました。
今となっては甚だ調べが足りず、越年すべきでした。年末は安くなっているらしい、だけで焦ってしまっていた。その10日後にクリスマスショック暴落です。これがスタートでした。(続