個別株投資デビューして、おかげさまでクリスマスショック、コロナショックや直近の令和のブラックマンデー、トランプ関税ショック安なども通過しつつも資産は6年ちょっとで2倍弱となっています。
投資を始める前に読んだ本は2冊のみ。前にというか、今に至るまで投資雑誌やネット記事などは読むものの、専門書としてはその2冊しか読んでません。1冊は売れ筋の入門本。もう1冊はピーター・リンチの「株で勝つ」。
後者は初出が大分昔で、私が買ったのは後年の再版本で、ちょうどインターネットバブルの頃、著者による当該バブルへの警鐘が加筆されたもので、私が買った時にはその警告がまさに当たっていることがとっくに証明されていました。そして、そこ以外の本文も、まさにお宝、金言ばかりで、十分に現代に通用する内容。ただ日本とアメリカで違う部分も、株式投資以外の不動産関係の部分などでは見受けられます。それと売買手数料も当時は恐ろしく高い。それらはまあ普通の一般人であればわかること。そういう部分以外の面では、これだけ時代が経過しても不変の真理というか、極意と言っていいレベルのことが書かれています。
投資を開始して以降も、ことあるごとに読み返し、実践経験とともに理解も深まるにつれ、本当にすごい本だな、と。書いてあるいくつかの原則を守るだけで破産もしないし、人生を株に注ぎすぎず、振り回されず、落ち着いて生きることができます。細かい要素はともかく「今後数年間のすべての考えうる出費をカバーする分の現金をキープしたうえで、残りの余剰資金を投資に回す」「信用取引、空売りをしない」この2点だけで極意です。これで、投資に踏み切れる。最大の失敗をしても、投資分がゼロになるだけ。人生の大勢に影響はない。よく聞く「株の暴落で破産」「借金」とかは一切ない。
そして「短期の株価の動きを無視する」「業績見通しが変わらないのに株価が下がったらむしろ買い。売りたくなるようなら資産は決して増えない」「相場の暴落はいい株を安く買うチャンス」この辺りも重要で、やはり投資初心者は暴落がとにかく心配、コツコツ積み上げた利益がドカンと消える、という事態にビビるので、そこの正しい受け取り方の指南をしてくれています。売っちゃいけない、むしろ買え、相場自体が下がってるだけで会社の価値はいささかも変わらない、いい会社の株価は戻る、と。これのおかげで数年間にあったショック安を乗り切れました。むしろチャンスということもまざまざと事実として見ることができたし、直近の急落相場ではしっかりと買い向かえました。
「短期の株価の動きを無視する」の「短期」は半年、1年に及ぶこともあります。また、株価が会社の純資産に照らしても不当に安く評価されている資産バリュー株に関しては「乗っ取り屋が嗅ぎつけて買収に来るまで売らない」とも書いてあり、それは数年に及ぶことはざら。私の主力であった知多鋼業はまさにそれで、6年ちょっとかかりました。2.7倍ほどで売れ、利益は1千万円超え。この一事だけでも、投資をして良かったといえます。待ちきれず、途中の上昇局面で売っていたら利益はがた落ちでした。
今の保有銘柄もそれぞれ年初来ではプラス、マイナス何パーセント、あるいは直近の相場でプラスマイナスいくら、という動きはありますが、これこそ無視すべき数値で、本当に見るべきは会社の業績、長期の見通しである、と。
今は情報化社会で、検索してもいない色々な耳寄りな情報が日々SNSにも上がってきます。色んな人が、色んなセオリーや成功体験を日々アップし、その中には数億円増やした億り人もいたりする。リンチの本も優秀かもしれないけど、古いし、最新の億り人の発信を後追いした方がやはり現代はいいのでは、と、コロナショックの時は思いましたし、ちょっとそっちの方に引っ張られた行動もしてしまいました。結局損しました。
別にリンチだけが正しい、SNS情報は間違っている、というつもりはありません。結局本人がどう行動に置き換えるか、どう生かすか、にかかっている。中途半端に見て聞いた新しい話をしばらく横に置いといて、ずいぶん経ってから「やっぱりこれいいみたい、やる!」と慌てて取り入れたりしていては、そりゃあ損しかしません。半端に取り入れるくらいなら、リンチの本に立ち返る。私の基本はリンチの本。という感じで、明日から発表の四半期決算をよく見ます。